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蕭白の「群仙図屏風」(その二) [蕭白]

(その二) 「群仙図屏風」(蕭白筆)の「左隻」

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「群仙図屏風」(蕭白筆)の「左隻」文化庁蔵(一七二・〇×三七八・〇cm)

 蕪村の同時代の「奇想画の旗手」の曽我蕭白は、全く「文人画の旗手」の与謝蕪村と、全く異次元の、画人かというと、そうではないのである。その根っこにある、「伝統に対して革新」、そして、その「革新に対して、更なる、新しい息吹」ということには、この両者とを見比べると時、当時の、「蕪村・蕭白、そして、若冲」等々の、熱気溢れった、「芸術家の、飽くなき追及して止まない、病的なほどの熱気」を、ひっし、ひっしと実感するのである。
 さて、この蕭白の「左隻」の、左上の落款は「式部太輔蛇足軒暉珏入道十世曾我左近次郎蕭白暉雄筆」と、何とも仰々しい「遊び心」が満喫しているサインなのである。そのサインの右側の透けた団扇をかざしている女性が、「西王母(セイオウボ)」で、その西王母の前に、不老不死の実の「仙桃(セントウ)」が置かれている。その仙桃を食べようとしている動物が、松毬のような鱗を持った「穿山甲(センザンコウ)」である。
 その穿山甲を見ている女性は、西王母の侍女で、何やら盆の上に小さな桃の実のようなものを載せて持っている。その右側に、「蝦蟇仙人(ガマセンニン)が、「蝦蟇(ガマ)」を肩に載せている。それだけではなく、隣の女性に、「耳かき」をさせている。
 画面中央の「鯉(コイ)」を掴んでいる人物は「左茲(サジ)」で、「三国志」で活躍する妖術使いの名手である。何やら背に「遁甲天書」の巻物などを携えている。
白い「鶴(ツル)」と黄色い「鶴(ツル)」は、隣の「唐子(カラコ)」の一人を抱っこし、数人の唐子を引き連れての「林和靖(リンナセイ)」と「左茲(サジ)」とを取り持つ「吉鳥(キツチョウ)」なのであろう。
 どうにも、この「唐子(カラコ)」は、屈託がなく、そして、逞しく、さながら、当時の、京都画壇の、「応挙・蕭白・若冲・蕪村」等々の、その幼なかりし頃の、イメージすら抱かせるのである。
 そして、蕪村の「十二神仙図押絵貼屏風」(六曲一双)の、その「左隻」は、これらの蕭白の「唐子」の、それぞれが、それぞれに到達した、その「老仙」の姿のようにも思われる。

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「十二神仙図押絵貼屏風」(蕪村筆)の「左隻」(一二九・六×三二六・四cm)


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