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蕭白の「群仙図屏風」(その四) [蕭白]

(その四)「群仙図屏風」(蕭白筆)の「左隻」の「左茲」と「鯉」と「鶴」

唐子.jpg
「群仙図屏風」(蕭白筆)の「左隻」(部分図・左茲と鯉と鶴)

 この左側に描かれている「左茲(サジ)」は、右側の「和靖先生」が「先生」とすると、どうにも、眼光の鋭い、そして、手に「鯉」(出生魚)を掴んでいることから、「唐子を選抜する」ところの、謂わば、「人買い」のような悪相の仙人のような雰囲気である。
「左茲」が活躍するのは、「神仙伝」というよりも、戦国時代の『三国志』上に登場する妖術使いの名手である。この詩人の「和靖先生」から、妖術使いの「左茲」への、黄色い「鶴」と白い「鶴」(「平和」のシンボル)を介してのバトンタッチは、「和靖先生」(「平和」の時代)から「左茲」(「戦国」の時代)への変遷を物語っているのか知れない。
 しかし、実は、蕭白には、同じ画題の「群仙図屏風」(二曲一双・東京芸大美術館蔵)があり、その左隻には、「葛玄」(カツゲン、左茲の一番弟子)が、鯉を呼び寄せている図が描かれている。そして、その脇に、「黄安」(コウアン、亀仙人)が「亀」を両手にしているのである。
 とすると、この「和靖先生」のペットの「鶴」は、「鶴は千年、亀は万年」の「長寿の鶴」を意味し、「鯉」は「男児の出生と健康」を祝ってのものなのかも知れない。何故、「左茲」とか「葛玄」が出て来るかというと、「左茲」が「葛玄」に「霍山(カクザン)に登って九転丹(仙丹=不老不死あるいは仙術を得るという仙薬)を作るよ」との逸話の、これまた、「不老不死」の「長寿」の祝いと関係するのかも知れない。
 すなわち、何とも、蕭白の代表的な奇想画とされている「群仙屏風図」(六曲一双)は、
大名家である京極家伝来の作品とされ、中国の「神仙伝」逸話を主題にしての、京極家の、男嗣出生にまつわる、「祝い品」(「鯉幟・武者幟」の類い)の美術装飾品的作品と解するのが妥当なのかも知れない。

美校・左隻.jpg
「群仙図屏風」(蕭白筆・二曲一双・東京芸大美術館蔵)の「左隻」


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