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蕭白の「群仙図屏風」(その五) [蕭白]

(その五)「群仙図屏風」(蕭白筆)の「左隻」の「西王母」と「蝦蟇仙人」

西王母.jpg
「群仙図屏風」(蕭白筆)の「左隻」(部分図・西王母と蝦蟇仙人)

 『無頼の画家 曽我蕭白(狩野博幸・横尾忠則著)』では、「美女の耳そうじでニンマリの蝦蟇仙人」とか「誰となく秋波送る西王母……もう収拾がつきません」とかの、何やら怪しげな文言が列挙されている。
 しかし、大名家である京極家の、男嗣出生にまつわる、「祝い品」(「鯉幟・武者幟」の類い)の美術装飾品的作品と解して、その視点からすると、ここに描かれている「西王母(セイオウボ)」は、長寿の神様で、その「西王母」の前に描かれている桃は、不老不死の実の「仙桃(セントウ)」、そして、その「仙桃」の傍らの「穿山甲(センザンコウ)」(体の外部に松毬のような鱗を持つ珍獣)は「魔除け」と、全て、「吉祥画(キッショウガ)」(縁起物の画)のモチーフということになろう。
 同様に、右下の、「蝦蟇仙人(ガマセンニン)=劉海蟾(リュウカイセン)」は、不老不死の術を修めた仙人で、その背に居る蝦蟇は、三本足の白い蝦蟇の「青蛙神(セイアジン)」で、この青蛙神が訪れると幸運・金運に恵まれるなどの伝承がある。
 この「左隻」は、「不老不死・長寿の祝い」がメインテーマとすると、「唐子たちの笑い」「和靖先生の笑い」「左茲の笑い」、そして、耳そうじをされての「蝦蟇仙人の笑い」、それを見ている「西王母の笑い」と、「笑う門には福来る」がサブテーマという雰囲気である。

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「群仙図屏風」(蕭白筆・二曲一双・東京芸大美術館蔵)の「右隻」



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