SSブログ

蕭白の「群仙図屏風」(その六) [蕭白]

その六)「群仙図屏風」(蕭白筆)の「右隻」の「董奉」「虎」と「簫史」「鳳凰」

鳳凰.jpg
「群仙図屏風」(蕭白筆)の「右隻」(部分図・「董奉」「虎」と「簫史」「鳳凰)

 この「群仙群図屏風」(六曲一双)の「右隻(六曲一隻)」の右からの「第一扇(面)・第二扇(面)」(部分図)だけでも、優れた、曽我蕭白の「群仙図」ということになろう。
 「明と暗」とのコントラストの、暗の右側(第一扇)には、髭を風に吹かさせての、「貧しい患者からは治療費の代わりに杏の苗を受け取ったという『神仙伝』中の名医「董奉(トホウ)」その人が描かれている。
 それを暗示するのは、この明の左側(第二扇)の、白一色の感のある「鳳凰」にウィンクしているような、白虎ならず、名医の「董奉」に仕えて、その「杏林(キョウリン)」を見守りしている、何やら「虎」らしきものが描かれている。
 この「虎」らしきものの視線は、この「右隻」の「第六扇(面)」に描かれている「黒龍」ではなく(「青龍」と「白虎」との対比ではなく)、「白い翼の鳳凰(白鳳凰)」に注がれている。
 この鳳凰は、伝説上の瑞鳥で百鳥の王とされ、太平の象徴でもある。古来、宇治平等院鳳凰堂など様々な装飾などに使用されている。また、「龍」「鳳凰」「麒麟」「亀」は、「吉祥」(縁起物)の吉を招く「四霊」とされている。
 因みに、「四神」は「(青)龍」「朱雀=鳳凰」「(黄)龍=麒麟」「(白)虎」、「五獣」は「四神+玄武(亀蛇)=黒」、「五龍」は「青龍・朱龍・黄龍・白龍・黒龍」、そして、「鳳凰」にも、「赤を鳳(ホウ)、黄を鵷雛(エンスウ)、青を鸞(ラン)、紫を鸑鷟(ガクサク)、白を鴻鵠(コウコク)、朱雀(スザク)=鳳凰から生まれ邪を焼き尽くす炎の神鳥」と細分化されるらしい。
 さて、この鳳凰を随えている、赤い服をまとって、赤ら顔の、簫(竹で作った笛のような楽器)を吹いている人物は、簫史という簫の名手で、「鳳凰」(太平楽の象徴)を天から呼び寄せたという仙人なのであろう。
 蕭白は、この簫史について、別に「簫史吹簫図屏風」(「塞翁飼馬・簫史吹簫図屏風」の左隻)を制作しており、それらのモチーフを、ここにも応用しているのであろう。
 この「右隻」の「簫史(朱)と鳳凰(白)」とが、その「右隻」のメインであるばかりでなく、「群仙屏風図」(六曲一双)全体のメインのような色調・コントラストが感じられる。
しかし、その脇の名医「董奉」の眼は、隣の簫史や鳳凰ではなく、遥か彼方の「龍・呂洞寶」、そして、呂洞寶の手にある「霊芝(レイシ)」(幻の霊薬)に注がれている。
 すなわち、全体のテーマは、「不老不死・長寿のお祝い」(男嗣誕生・健康・富貴・長生・家運隆盛等々)で、この「右隻」の圧巻は、龍と呂洞宝を取り巻く、渦巻き状の「疾風怒涛」(特に「疾風」)の紋様が、「霊芝」をイメージしているところに在るように思われる。

三重・簫史.jpg
「塞翁飼馬・簫史吹簫図屏風」(蕭白筆・紙本墨画・六曲一双・三重県立美術館蔵)の「右隻・簫史吹簫図屏風・一五五×三三八cm」



コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。