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抱一画集『鶯邨画譜』と抱一句集『屠龍之技』(その八) [『鶯邨画譜』と『屠龍之技』]

その八 燕子花(抱一の「燕子花図」周辺)

抱一・燕子花.jpg

抱一画集『鶯邨画譜』所収「燕子花図」(「早稲田大学図書館」蔵)
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/chi04/chi04_00954/chi04_00954.html

 尾形光琳の、「燕子花図屏風」(国宝・根津美術館蔵)・「八橋図屏風」(メトロポリタン美術館蔵)・「八橋蒔絵螺鈿硯箱」(国宝・東京国立博物館蔵)・「伊勢物語八橋図」(東京国立博物館蔵・掛幅)・「燕子花図」(大阪市立博物館蔵・掛幅)そして、尾形乾山の「八ツ橋図」(国(文化庁)・重要文化財(美術品))などについては、次のアドレスで簡単な紹介をしている。

https://yahan.blog.so-net.ne.jp/2018-06-06

 また、酒井抱一の、「八橋図屏風」(出光美術館蔵)・「燕子花図屏風」(出光美術館蔵)、そして、『光琳百図』(尾形光琳画・酒井抱一編)所収「燕子花図屏風」などについて、下記のアドレスで紹介をしている。

https://yahan.blog.so-net.ne.jp/2018-07-27

 これらの、光琳・抱一の次代の江戸琳派の旗手・鈴木其一の「燕子花」図関連の大作ものは目にしない。しかし、其一には、「雑画巻」(出光美術館蔵)や『草花十二ヵ月画帖』(MOA美術館蔵)などで、その小品ものの「燕子花」図を目にすることが出来る。

其一・燕子花.jpg

鈴木其一筆『草花十二ヵ月画帖』(MOA美術館蔵)所収「五月」(紙本著色、十六・七×二一・二㎝)

 「月次の草花を十二枚に描き、画帖としたもの」の、「五月」の図柄である。この図柄は「藤と燕子花」であろう。其一は、この画帖とは別に、『月次花鳥画帖』(細見美術館蔵)という画帖もあり、その画帖には「燕子花」図はなく、「藤」図が「四月」に描かれている。
 其一には、これらの画帖の他に、「十二ヵ月花木短冊」(個人蔵)、「十二ヵ月花鳥図扇面」(ファインバーグ・コレクション)、「十二ヵ月図扇」(太田記念美術館蔵)など、「四季の花卉」などを「十二ヵ月に描き分ける」という趣向のものが多い。この趣向は、「師の抱一が確立したもので、人気が高く、かなりの需要があったようである」(『鈴木其一 江戸琳派の旗手 図録』所収「作品解説135 十二ヵ月花鳥図短冊」)。
 上記の『鶯邨画譜』所収「燕子花図」は、上記の其一の『草花十二ヵ月画帖』所収「五月」(「燕子花」図)のマニュアル(抱一筆)と解しても差し支えなかろう。
 そして、この「燕子花」図は、「抱一→其一→其明→其玉」と、脈々と受け継がれて行くのである。

其玉・燕子花.jpg

中野其玉筆『其玉画譜』(小林文七編・ARC古典籍ポータルデータベース)所収「燕子花図」
www.dh-jac.net/db1/books/results-thum.php?f1=BM-JH398&f12=1&-sortField1=f8&-max=30&enter=portal

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