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「風神雷神図」幻想(その十四) [風神雷神]

(その十四)抱一の「風神雷神図屏風」

抱一・風神雷神図.jpg

酒井抱一「風神雷神図屏風」 紙本金地着色 二曲一双 各一七〇・七×一七〇・二cm  
出光美術館蔵 江戸時代(十九世紀)

【 風神雷神は千手観音二十八部衆像の上部に描かれる仏像の神であるが、抱一画には、江戸の身近なキャラクターとして剽軽な趣が加わっている。宗達、光琳、抱一と、琳派の図様継承がもっとも象徴的に受け止められて図様だが、敷き写しができたらしい光琳に比対して、抱一は宗達本は見ておらず、一橋徳川家が所有しており江戸にあった光琳本を縮図として記憶にとどめ、そこから描かれたと思しい。 】
(『別冊太陽 酒井抱一 「江戸琳派の粋人」(監修=仲町啓子)』所収「作品解説・松尾知子稿」)

 かって、次のアドレスで、「酒井抱一(その五)『抱一の代表作を巡るドラマ』」とのタイトルで、抱一と光琳の「風神雷神図」などの一端について触れた。

http://yahan.blog.so-net.ne.jp/2018-01-26



一 俵屋宗達筆「風神雷神図屛風」二曲一双 紙本金地着色 江戸時代(17世紀) 各154.5×169.8㎝ 国宝 建仁寺蔵(京都国立博物館に寄託)
二 尾形光琳筆「風神雷神図屛風」二曲一双 紙本金地着色 江戸時代(18世紀) 各166×183㎝ 重文 東京国立博物館蔵 
三 酒井抱一筆「風神雷神図屛風」二曲一双 紙本金地着色 江戸時代(19世紀) 各170.7×170.2㎝ 出光美術館蔵

 ここで、上記の「宗達・光琳・抱一」の「風神雷神図屏風」関連ついて概括すると、宗達画(寛永年間=一六二四~=十七世紀)から約百年後に、光琳画(光琳五十歳代=一七〇七~=十八世紀)、そして、光琳百回忌(一八一五=十九世紀)前後に、抱一画と、この三者の間には、それぞれ、約百年のスパンがあり、それを江戸時代(約三百年)の時代区分ですると、大雑把に、宗達画=江戸前期初頭、光琳画=江戸中期初頭、抱一画=江戸後期初頭ということになろう。
 さらに、宗達画と光琳画の比較などについては、前回(その十三)で触れた。

http://yahan.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15

 その上で、抱一の、この「風神雷神図」について触れると、この抱一画は、宗達画を念頭に置いたものではなく、すべからく、光琳画を念頭に置いてのものということになろう。
 さらに、この抱一画は、光琳百回忌に因んで、抱一自身が編んだ記念図録集『光琳百図』中の、次の「風神雷神図」などと関連の深いものという印象を深くする。

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/850497

国立国会図書館デジタルコレクション - 光琳百図

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