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「風神雷神図」幻想(その十九) [風神雷神]

(その十九) 三十三間堂の「怒れる雷神・風神」と北斎の「雷神風神」図

三十三間堂.jpg

「三十三間堂」=「雷神像(右)」「風神像(左)」

「三十三間堂」の中央に位置する「千手観音像」と「千体仏」を支える守護神が二十八部衆のようである。
 その「千手観音像」を四方に支える「四天王」(持国天・増長天・広目天・毘沙門天)
さらに「八部衆」(天衆・龍衆・夜叉衆・緊那羅(キンナラ)衆・乾闥婆(ケンダツバ)衆・迦楼羅(カルラ)衆・阿修羅衆・摩睺羅(マゴラ)衆)、そして、「金剛力士(仁王像)」(阿形像・吽形像)」などがよく知られている。
 その他に、「吉祥天・梵天・大自在天・鬼子母神・金毘羅王・金色孔雀王・金大王・満仙王・難陀(ナンダ)竜王・散脂(サンジ)大将・畢婆迦羅(ヒバカラ)王・摩醯首羅(マケイシュラ)王・婆藪(バス)仙人・摩和羅女」など、読み方もまちまちの守護神が取り巻いているようである。
 この「二十八部衆」(守護神)の眷属(従者・郎党)の「二神」が、「風神」「雷神」で、
「自然の脅威の悪神」と「二十八部衆の手助けをする善神」との、その両性を備えている「鬼神」というような位置づけなのかも知れない。

 ここで、今まで見てきた「風神雷神」図像のうちで、「自然の脅威の悪神」(「怒れる風神雷神)」という印象を漂わせているのは、北斎の「雷神図」と「風神図」とが群れを抜いている。

北斎・雷神図一.jpg

北斎筆「雷神図」(一部・拡大)フリーア美術館蔵(「オープンF|S」)
署名「八十八老卍筆」 印章「百」 弘化四年(一八四七)

 この北斎の「雷神図」は、まさに、「三十三間堂」の、上記の「怒れる雷神像」に匹敵する。
 そして、この上記の「三十三間堂」の、何処となく、上記の「八部衆」の、「迦楼羅(カルラ)衆」の雰囲気を漂わせている「怒れる風神像」に比しての、北斎の、次の「風神図」が、どうにもそぐわないのである。

風神.jpg

北斎「風神図」(落款「八十五老卍筆」 印章「冨士型」)
弘化元年(一八四四) 個人蔵

 これは、何処となく、上記の「二十八部衆」のうち、「婆藪(バス、バソ)仙人」の面影を宿しているように思えるのである。

婆藪像.jpg

「三十三間堂」の「「婆藪(バス・バソ)仙人」像

 そして、さらに、幻想を手繰らわして行くと、次の、北斎の晩年の杖を引いた自画像に行き当たるのである。

北斎自画像.jpg

Hokusai as an old man(フリーア美術館蔵)
Type Album leaf
Maker(s) Artist: Katsushika Hokusai 葛飾北斎 (1760 - 1849)
Historical period(s) Edo period, 1760-1849
Medium Woodblock print: ink on paper
Dimension(s) H x W: 54 x 25.5 cm (21 1/4 x 10 1/16 in

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