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「光琳・乾山そして蕪村」周辺覚書(その二十二) [光琳・乾山・蕪村]

その二十二 乾山の「百合図」

乾山百合一.jpg

尾形乾山筆「百合図」 一幅 紙本着色  大山崎山荘美術館蔵
30×52.5cm

https://www.asahibeer-oyamazaki.com/chinese/collection/050.html

(メモ)

一 上記のアドレスの解説記事を見ると、「柳宗悅」の旧蔵品で、アサヒビールの「山本為三郎」所蔵となった作品のようである。この種のものは何点かあるようである。

乾山百合二.jpg

尾形乾山筆「百合図」一幅 紙本着色 個人蔵 元文三年(一七三八)作
一一六・七×二六・六㎝
【 款記から元文三年(一七三八)、乾山七十六歳の作と判明する。一見素朴ながら味わい深い作。ゆっくりと引かれた線に、乾山らしい重々しさと雅味がある。「燈(ともしび)の夜を残すかと朝露にひかりことなるゆりの一花」は、室町時代の公家歌人三条西実隆の歌。 】(『もっと知りたい 尾形光琳(仲町啓子著)』)

この作品の印章らしきものは、朱で「権平」(乾山の幼時の頃の名)の「平」を図案化した「花押」のようである。この花押の他に、「巾着」形の「花押」があるが、「平」の花押は、主として文書や晩年のものに使用しているのかも知れない。

乾山花押.jpg

(『尾形乾山第三巻研究編(リチャード・ウィルソン、小笠原左江子著)』)
所収「乾山の花押」

二 上記の図の歌賛は、どちらも、三条西実隆の「燈(ともしび)の夜(よ)を残すかと朝露にひかりことなるゆりの一花」である。歌賛がなく、扇面の「百合図」もある。皆、同時の頃の作品なのであろう。

乾山百合三.jpg

尾形乾山筆「百合図扇面」(ファインバーグ・コレクション)

https://blog.goo.ne.jp/shinakoji/e/f72a998bcf1e993d681c44eab1adc0b6

三 乾山の「百合」を主題とした名品も多い。

http://www.miho.or.jp/booth/html/artcon/00000888.htm

「乾山銹絵百合形向付」MIHO MUSEUM蔵(益田鈍翁旧蔵) 高:5.2cm 口径:15.8cm 底径:5.8cm
【 型造りの向付で,器表面には型離れを容易にするためにあてられたと考えられる布の圧痕(布目)が残っている。銹絵で花弁の縁どりとしべが描かれ,全体に半透明の釉が掛
けられているが,外底部だけは露胎になっている。
乾山焼ではごく一般的な白泥を塗る手法も,この向付に関しては全く用いられていない。現在,京都の法蔵寺に所蔵されている鳴滝窯跡出土陶片のなかに,ほとんど同一の向付の口縁部破片が存在することから,この種の向付がすでに鳴滝時代には作られていたことが知られ,製作年代を考えるうえでの大きな手掛かりとなっている。
五客中四客に「乾山」の銹絵銘が施されているが,いずれも書体が極めてよく似通っており,同一人物の手によるものと推定される。銘は,くずしの少ない整った書体のもので,これは乾山焼の銘としては古相を示すものと考えられている。】
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