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酒井抱一の「綺麗さび」の世界(十五) [抱一の「綺麗さび」]

その十五「扇面雑画(三十九)・稲穂に雀図」(抱一筆)

稲穂に雀図.jpg

酒井抱一筆「扇面雑画(三十九稲穂に雀図)」(「扇面雑画(六十面)の一面」)
紙本着色・墨画 三六・五×六三・八㎝(各面) 東京国立博物館蔵 → A図

https://image.tnm.jp/image/1024/C0036832.jpg

白梅雪松小禽図.jpg

酒井抱一筆「白梅雪松小禽図」絹本着色 双幅(各)一一七・二cm×四七・五cm、
板橋区立美術館蔵 → B図

http://www.itabashiartmuseum.jp/art-2013/collection/ntb001.html

【左幅では、二羽の雀が何やら楽しそうにおしゃべりをしているようです。その上を粉雪がキラキラと輝くように舞っています。俳諧に慣れ親しんだ抱一ならではの表現です。抱一の作品が文学的であるとされるゆえんでもあり、作者の自然に対する温かなまなざしが感じられます。
 一方、右幅の天高くどこまでも伸びていきそうな梅の枝は、鋭い線で描かれ、左幅の穏やかな情景とは対照的です。
 酒井抱一は、江戸淋派を大成した画家として知られていますが、意外にも尾形光琳の画風との出会いは遅く、抱一が四十歳前後のころであったといわれています。抱一の代表的な作品は、これ以降に集中しています。
 この作品に見られる梅の枝や壺(つぼ)の表現は、「たらし込み」(墨や絵具のにじみの効果をいかす技法のこと)で描かれており、光琳の影響がうかがえます。抱一の描く四季折々の情景は抒情性にあふれ、独特の静寂の世界へと、いざなうかのようです。 】

竹雀図.jpg

酒井抱一筆「竹雀図」(『絵手鑑帖・七十二図・静嘉堂文庫美術館蔵』の五十四図)
紙本墨画淡彩 「抱一筆」(墨書) 「文詮」(朱文内瓢外方印) → C図
【 このような様々な主題・技法の作品を寄せ集めた作品形式のひとつのアイディアとして、『光琳百図(後編)』所載の雑画セット全二十四図をあげておきたい。このセットの形状は画帖であったかは不明ながら、そのなかに「富士山図」「竹雀図」「寒山拾得図」「大黒天図」「梅図」「芙蓉図」などが含まれ、様式は抱一の『絵手鑑』と異なるものの、主題など共通点も多い。もちろん『絵手鑑』は江戸時代の画帖の大きな流れのなかに位置する作品であるが、光琳のこのような作品からも形式や編集の方法を学んでいるのではないかと思われる。 】
(『琳派五・総合(紫紅社刊)』所収「静嘉堂文庫美術館蔵 酒井抱一筆『絵手鑑』について(玉蟲敏子稿)」)

 この解説は、抱一の『絵手鑑』(静嘉堂文庫美術館蔵)の「形式や編集方法」に関してのもので、その一図の「竹雀図」に関するものではない。そして、確かに、『光琳百図(後編・下)』には、下記アドレスのとおり、光琳の「竹雀図」の縮図も収載されている。しかし、上記の「雀」図(A図・B図・C図)は、光琳よりも、応挙・芦雪らの「円山四条派」に近いものであろう。
 なお、上記の論考(玉蟲敏子稿)では、この『絵手鑑』の全図について、次の六点から考察されている。

一 伊藤若冲から学んだもの
二 大和絵から学んだもの
三 谷文晁および中国画から学んだもの
四 宗達・光琳から学んだもの
五 円山四条派から学んだもの
六 俳趣味のものなど

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/850495


国立国会図書館デジタルコレクション 『光琳百図 後編 (下)』

光琳「竹雀図」(縮図)

下 三十二、左頁の「左・中段」
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