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酒井抱一の「綺麗さび」の世界(十) [抱一の「綺麗さび」]

その十 「扇面雑画(五十八)・五徳と羽箒図」(抱一筆)

扇面雑画・五徳・羽箒図.jpg

酒井抱一筆「扇面雑画(五十八)・五徳と羽箒図」(「扇面雑画(六十面)の一面」)
紙本着色・墨画 三六・五×六三・八㎝(各面) 東京国立博物館蔵

https://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0004069

 前回に続いて、「文化十五年(改元して文政元年=一八一八、抱一、五十八歳、其一、二十三歳、鶯蒲、十一歳)春の『四季花鳥図巻』」(東京国立博物館蔵)」、その、文政元年(一八一八)四月に、「松平不昧没(六十八歳)、天徳寺の墓前に筆塚建立、塙保己一作の碑文を抱一が書す」(『酒井抱一と江戸琳派の全貌(求龍社)』所収「酒井抱一と江戸琳派関係年表)」とある。
 抱一の兄、宗雅の茶道の師は出雲松江城主松平不昧(ふまい)で、「一徳庵宗雅」を号する石州流不昧派の大茶人の一人である。
宗雅と不昧との出会いは、ともに日光山諸社堂修理に従事した安永八年(一七七九、不昧=二十九歳、宗雅=二十五歳、抱一=十九歳)のことで、以来、江戸在府の折には屋敷を往来するなどして交遊を深め、天明六年(一七八六)、江戸大手上屋敷に新たな茶室「逾好(ゆこう)庵」を設け、その茶会記録「逾好日記」を今に遺している。
 抱一は、茶道では不昧門というよりは、兄の宗雅門で、この宗雅に連なる人脈(柳沢信鴻=米翁、柳沢保光=米翁の世子、松平雪川=不昧の弟)の俳諧にウエートを置いている「米翁・雪川」らの俳諧派ということになろう。 
 しかし、不昧と抱一との関係も、不昧の松平家(不昧の世子=月潭)と宗雅の酒井家(宗雅の世子・忠道の娘)とは姻族になるなど親しい関係が続いていたのであろう。
 上記の「五徳と羽箒図」は、茶道関係の画題で、抱一の没する一年前(文政十年=一八二七、抱一、六十七歳)と没年(文政十一年=一八二八、抱一、六十八歳)時に、水戸候徳川斉修の茶席に招かれたことが年表などに記されている。その文政十年(一八二七)の「御道具御会席附」を抱一の「軽挙館句藻」から抜粋して置こう。

【 御道具御会席附 
※=羽箒 ※※=「菊紅葉」=下記(参考) ※※※=宗雅・抱一の母方の松平家
初坐
一 掛物   ゆらのと 定家卿筆
一 窯    広口天明 蓋漢鏡紋あり
一 香合   回也 庸軒作 画土佐光起
一 三ツ羽※ 大鳥
一 炭斗   人形台
一 水次   方口
後坐
一 掛物   菊紅葉※※ 等覚院抱一筆 讃清人藩世恩石韞玉
一 花入  船 砂張(船形の見取図あり) 船大サ二尺五寸斗水一盃入紅葉
      絵の影をうつさんとの思召也
一 水指  九牛(カ) 古染付
一 茶入  菊桐大棗 利休在判 袋利休漢唐
一 茶   銘花の白 上林三入詰
一 茶碗  県井戸 書付松平左近将監※※※よし
一 茶杓  氏郷作  
一 蓋置  引切
一 酒   曲物
一 合図銅鑼 銘谷の戸
一 薄茶器 島物
一 茶杓  春冬銘 探幽斎共印あり
一 茶碗  平戸
以上
会席
向     きんこ 鰹ふしあへ
汁     白みそ しのむき大根 鴨

平     なゝもくみうは 生姜汁おとし
引もの   みそ漬鯛
口取    川しりたゝき
吸物   かふらほね
とり肴  ゆりね しそのみ むきゑひ

香せん
香もの  なつけ
菓子   大徳寺きんとん
後くはし 瓢箪せんべい 紅落雁 早わらひ
以上               】
(『相見香雨集一(日本書誌学大系四十五)』所収「抱一上人年譜稿」)

羽箒については、下記のアドレスなどが詳しい。

http://www.chazumi-club.com/03/index03.html

 五徳については、下記のアドレスなどが詳しい。

https://eishodo.net/chadogu/gotokubasis/

(参考)

抱一・扇面紅葉図.jpg

酒井抱一筆「紅葉図扇面」紙本金砂子地著色 一幅 三六・五×五三・五㎝
【 団扇図と同様、画面を斜めに幹が横切り、左右から色づいた楓の葉が垂れる。朱、黄口の朱、橙とその色の変化は友禅文様のようである。バックに厚く金砂子を蒔き、その装飾効果を高めている。幹には楓の樹肌の斑模様をたらし込みにして描き、そこに白線で縁取った苔をつけてアクセントをつける。この際立った明快な彩色と黒ずんた幹や枝できりっと締めるあたり、色彩画家抱一の面目躍如としたあとがうかがわれる。この図は他にやはりこのように濃彩で綴られた幾つかの扇面画組物があったであろう。その中から一枚別れたものと考えられ、しかも未使用の扇面であり、同組物中他の扇面の華麗さも想像されて惜しまれる。
落款は「抱一筆」、朱文瓢印「文詮」がある。  】
(『抱一派花鳥画譜三(紫紅社)』所収「本文・図版解説(中村渓男稿)」)
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