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最晩年の光悦書画巻(その一) [光悦・宗達・素庵]

(その一)草木摺絵新古集和歌巻(その一・序)

(1-1)

新古今1-1.jpg

草木摺絵新古今集和歌巻(部分)
寛永10年(1633)10月27日 静嘉堂文庫蔵
紙本墨書 金泥摺絵 一巻 縦35.8㎝ 長957.2㎝
四季順に、躑躅(つつじ)、藤、立松、忍草、蔦(つた)、雌日芝(めひしば)の木版模様を並べ、金泥や金砂子をほどこした下絵に、巻十二恋歌二の終わり二首、巻十三恋歌三の巻頭から十三首を選んで記す。巻末には「鷹峯隠士大虚庵齢七十有六」の署名と「光悦」の黒印がある。震えを帯びた細い線が所々に見出され、年紀どおり最晩年の書風を示している。
(『もっと知りたい本阿弥光悦―生涯と作品―(玉蟲敏子他著)』)

 この「草木摺絵新古今集和歌巻」の巻頭は、右の図の「西行法師」の一首で、その巻末(左の図)は、「馬内侍(うまのないし)」の一首のようである。

「草木摺絵新古今集和歌巻」の巻頭の一首(上記の「右図」)

1147 なにとなくさすがに惜しき命かなあり経ば人や思ひ知るとて(西行「新古今」)

「草木摺絵新古今集和歌巻」の巻軸の一首(上記の「左図」)

1161 忘れても人に語るなうたた寝の夢見てのちも長からじ世の(馬内侍)

 ここで、『もっと知りたい本阿弥光悦―生涯と作品―(玉蟲敏子他著)』で触れられている、「光悦書画巻」に関する基本的なデータを整理して置きたい・

紙本墨書

書・画・文書(もんじょ)などの紙に書かれたもの。「本」には「質」(材質)の意味があり、たとえば「紙本墨書」といえば、紙に墨で書かれた書あるいは文書、「紙本着色」は、紙に描かれた着彩画であることを示す。ほかに、紙本淡彩、紙本金地着色、紙本版画など、技法を表すことばと組み合わせて、おもに美術作品や歴史資料の材質を示すのに用いられることが多い。紙本に対して、絹に書かれたものを絹本(けんぽん)という。また、同じ絹でも繻子(しゅす)織の一種で、光沢のある絖(ぬめ)に書いたものを、とくに絖本(こうほん)とよんでいる。[松原 茂](「日本大百科全書(ニッポニカ)」)

金泥と砂子

砂子(すなご)は粗密各種類の網を張った竹筒に切廻し箔を入れ粒状にした後,再び竹筒に入れ棒などで竹筒をたたいて画面に落としてゆく技法で,装飾効果を高めるためのものである。泥(でい)は箔をつくる際に出る切廻し箔などを練り合わせたもので,金泥は膠で練り,火の上で焼きつけては溶きかえすという作業をくり返しながら使うと美しい発色が得られる。また金泥を塗った後,貝殻や動物の牙などで上面をこすり,輝きを増したりもする。
(「世界大百科事典 第2版」)

摺絵

白地の布に染料をすりつけて模様を出すこと。また、その模様や絵。染草ですり出した布の絵模様もいう。(「精選版 日本国語大辞典」)

巻物・巻頭・巻軸(巻末・巻尾)(「精選版 日本国語大辞典」)

巻物(巻子本)=書画や文章などを書いた横に長い紙を表装して、軸に巻いたもの。巻軸。横巻。巻子本。巻文。

巻頭
① 巻き物、書物、雑誌などのはじめの部分。巻首。
② 歌会、歌集などで最初の歌。また、連歌、俳諧で最初の発句。普通千句の第一番目の百韻の発句。
③ 巻中で、最も優れた詩歌や句。

巻軸
① 文書や書画などを巻き物にしたもの。また、その文書や絵。巻子(かんす)本。まきもの。
② 巻き物の、軸に近い終わりの部分。書物などの終わりの部分。巻尾。
③ 巻き物や書物の中の、すぐれた詩歌や句。一巻の中での、秀逸な文句。すぐれた部分。

料紙

書きものをするための紙。平安時代に上流社会で多くの紙が消費されるようになると、料紙は詩歌を美しく書くため、さらに紙質が重んじられるようになり、美意識の対象となった。なかでも奈良時代からの染め紙は色紙(しきし)として形式化され、美しくしかも薄く漉(す)ける流し漉きの技法と染色技術が組み合わさって、打曇(うちぐもり)(内曇)、飛雲(とびくも)、羅文紙(らもんし)などの漉き模様紙や、金、銀の砂子(すなご)、切箔(きりはく)、野毛(のげ)などによる加工紙、また墨流(すみなが)し、切り継(つ)ぎ、破り継ぎ、重ね継ぎなどの技法による継ぎ紙など、多種多様の料紙が工芸美術として発達した。これらは書道の発展とも関連して、現在までに多くの傑作が残されている。[町田誠之](「日本大百科全書(ニッポニカ)」)

新古今和歌集(抜粋)

歌数約2000首。仮名序藤原良経作、真名序藤原親経(ちかつね)作(ただしいずれも後鳥羽院の立場で執筆)。春、夏、秋、冬、賀、哀傷、離別、羇旅(きりょ)、恋1~5、雑(ぞう)上中下、神祇(じんぎ)、釈教の部立(ぶだて)よりなる。八代集中、秋歌が春歌に対して著しく多いのも特色であり、また『千載集(せんざいしゅう)』以後『新続(しんしょく)古今集』を除き、神祇、釈教両部は先後の別こそあれ連続して配されているが、最後の巻20が釈教部となるのは『新古今集』のみであり、後の承久(じょうきゅう)の悲運もこの配列のゆえとまでいわれた。作者は、拾遺群歌人と千載群歌人とに大別され(風巻(かざまき)景次郎による)、歌群の交替と歌人群の交替との巧みな組合せ、各歌群内における配列美により、一首一首の美とともに配列の美による歌境が展開される。作者としては、数のうえからは、撰集時代もしくはやや前の時代の歌人が重んぜられており、西行(さいぎょう)94、慈円92、良経79、俊成(しゅんぜい)72、式子(しょくし)内親王49、定家46、家隆43、寂蓮35、後鳥羽院33、俊成卿女(しゅんぜいきょうのむすめ)29、雅経22、有家19、通具17等がみられ、古い時代の歌人では、貫之(つらゆき)32、和泉式部(いずみしきぶ)25、人麻呂(ひとまろ)23等がみられる。[後藤重郎] (「日本大百科全書(ニッポニカ)」)

本阿弥光悦(抜粋)

https://nenpyou-mania.com/n/jinbutsu/10303/%E6%9C%AC%E9%98%BF%E5%BC%A5%E5%85%89%E6%82%A6

本阿弥 光悦(ほんあみ こうえつ、永禄元年(1558年) - 寛永14年2月3日(1637年2月27日))は、江戸時代初期の書家、陶芸家、芸術家である。書は寛永の三筆の一人と称され、その書流は光悦流の祖と仰がれる。また、陶芸、漆芸、出版、茶の湯などにも携わったマルチアーティストとしてその名を残す。

(「画像」は、上のアドレスの通り。)

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yahantei

microsoft edge の更新で、何やら、新しい操作となり、ウエッブサイトの、画像の編集などが、「どうにもうまくいかない」。
しかし、それは、技術的な問題で、そのうちに、クリアするということで、進めたい。「鹿下絵和歌巻」の後に、ここは、どうしても、最晩年の「草木摺絵新古今集和歌巻」(静嘉堂文庫蔵)で行きたい。しかし、手持ちの画像は二枚のみで、しかし、MOA美術館の「花卉摺下絵新古今和歌巻」と、その主題が同じということが分かってきた。この二つの作品の間には、「寛永年間」の晩年の光悦と、「慶長年間」の壮年期の光悦とが、オーパラップしてくるので、何やら、画像処理は、うまくいかないのだが、先に進めることにする。
by yahantei (2020-07-15 19:22) 

yahantei

何やら、最終画像三枚(「光悦年表」)には、予期していないものやらも、出てきて、これは、削除したい感じなのだが、更新に伴う、Pc上での「悪銭苦闘」で、これは、そのままにアップして置きたい。
by yahantei (2020-07-15 19:53) 

yahantei

その末尾の三枚の画像は、上記のアドレスの通りであり、削除することにした。
by yahantei (2020-07-15 20:26) 

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