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川原慶賀の世界(その二十七) [川原慶賀の世界]

(その二十七)「シーボルトの三部作/『日本』/『日本動物史』/『日本植物史』」と「川原慶賀の『人物・道具・植物・動物』図譜」周辺

シーボルト『日本』.png

SIEBOLD, P. F. von Nippon 3 Bde. Leyden, 1852.
シーボルト『日本』
https://www.kufs.ac.jp/toshokan/gallery/ger31.htm

『ドイツの医者・博物学者として有名なフィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(Philipp Franz von Siebold, 1796-1866)は、バイエルンのヴュルツブルクに生まれ、1820年に同地の大学を卒業して博士の称号を得た。 1822年、オランダ東インド会社の衛生官となり、翌1823(文政6)年に長崎出島商館の医師として来日。 到着後、日本の医学と博物学の研究を始めると共に日本人の診察もおこない、有名な鳴滝塾を設けて多くの日本人を教えた。
 1826(文政9)年、商館長に従って江戸に参府したが、その道中多くの医者や本草(薬学)学者に会い知見を広めた。 1828(文政11)年の帰国にあたり、我が国の国禁を犯して高橋景保より受け取った地図などを携行しようとしたことが発覚し(所謂シーボルト事件)、翌年日本を追放されて本国に帰った。 しかし、1859(安政6)年に再び来日して、1861(文久元)年には徳川幕府の外交顧問となったが、翌年ドイツに戻りミュンヒェンで没した。
 本書は1852年に出版されたドイツ語版の初版本で、テキスト1冊、図版集2冊よりなっている。 テキストの内容は7編に分けられ、1編には日本の数理及び自然地理、2編には国民と国家、3編には神話・歴史、4編には芸術と学問、5編には宗教、6編には農業・工業及び商業、7編には日本の隣国及び保護領に関しての記述がなされている。
 なお、高橋景保が寄贈した精密な日本図(伊能忠敬実測)や北海道図を折込み、地形断面図や江戸・京都のパノラマ式スケッチを掲載しているなど、当時としては優れた地誌的著作ということができる。』(「京都外国語大学・図書館」)

シーボルト編 『日本動物史』 全5巻.png

SIEBOLD, Philipp Franz von  Fauna Japonica 5 vols. Leiden, 1833-1850.
シーボルト編 『日本動物史』 全5巻
https://www.kufs.ac.jp/toshokan/gallery/france17.htm

『本書の副題にもあるように、シーボルトがバタビア総督の命令を受けて在日期間中に動物を対象とした資料を収集し、ラテン語とフランス語による注記とスケッチで著したものである。全五巻からなり、「哺乳動物」、「鳥類」、「爬虫類」、「魚類」、「甲殻類」の五篇に別れ、各巻共に大型の図版を伴っている。それぞれの巻を作るにあたって、シーボルトの指揮のもとライデン博物館のコンラート・ヤコブ・テミンク他二名の専門家が分類と編纂にあたった。』(「京都外国語大学・図書館」)

シーボルト編 『日本植物史』 全2巻.png

SIEBOLD, Philipp Franz von  Flora Japonica 2 vols. Leiden, 1835-1870.
シーボルト編 『日本植物史』 全2巻
https://www.kufs.ac.jp/toshokan/gallery/france18.htm

『本書もシーボルトが日本で採集し、スケッチした植物を図版化しラテン語とフランス語で解説を加えた大著である。全二冊からなり、ミュンヘン大学教授のヨーゼフ・ツッカリーニが編纂に加わっている。第一巻は観葉植物と有用植物からなり、第二巻は花木や常緑樹や針葉樹が収められ、この二つの巻を通して百五十の図版が収められている。なお、シーボルトが編纂の途中で死去したことから、ライデン国立植物園長のフリードリッヒ・ミクエルという人物が事業を引き継ぐなど、刊行計画が変更された。』(「京都外国語大学・図書館」)

 ここで、上記の「シーボルト『日本』」の周辺に関しては、下記のアドレスなどで触れてきた。

https://yahan.blog.ss-blog.jp/2022-08-01

 そして、その「シーボルト『日本植物史』/『日本動物史』」の周辺に関連しては、下記のアドレスで、次の図などを紹介してきた。

https://yahan.blog.ss-blog.jp/2022-09-14

(再掲)

【 (その八)「川原慶賀の動植物画」(シーボルト・フイッセル:コレクション)周辺

川原慶賀の植物画.png

上図(左から「ムクゲ」「クチナシ」「ナノハナ」「カキツバタ」「スイカ」)
下図(左から「タンポポ」「フクジュソウ」「ケシ」「キリ」「サツキ」)
川原慶賀筆 ライデン国立民族学博物館

http://www.nmhc.jp/keiga01/kawaharasite/target/kgdetail.php?id=762&cfcid=115&search_div=kglist

●作品名:ムクゲ ●学名/Scientific name:Hibiscus syriacus
●分類/classification:植物/Plants>アオイ科/Malvaceae

●作品名:クチナシ ●Title:Common Gardenia
●学名/Scientific name:Gardenia augusta
●分類/classification:植物/Plants>アカネ科/Rubiaceae

●作品名:ナノハナ ●Title:Rapeseed
●学名/Scientific name:B.rapa var.nippo-oleifera
●分類/classification:植物/Plants>アブラナ科/Brassicaceae

●作品名:カキツバタ ●学名/Scientific name:Iris laevigata
●分類/classification:植物/Plants>アヤメ科/Iridaceae

●作品名:スイカ ●Title:Water melon
●学名/Scientific name:Citrullus lanatu
●分類/classification:植物/Plants>ウリ科/Cucurbitaceae

●作品名:タンポポ ●Title:Dandelion
●学名/Scientific name:Taraxacum
●分類/classification:植物/Plants>キク科/Asteraceae

●作品名:フクジュソウ ●Title:Far East Amur adonis
●学名/Scientific name:Adonis amurensis
●分類/classification:植物/Plants>キンポウゲ科/Ranunculaceae

●作品名:ケシ ●Title:Opium poppy
●学名/Scientific name:Papaver somniferum
●分類/classification:植物/Plants>ケシ科/Papaveraceae

●作品名:キリ ●Title:Empress Tree, Princess Tree, Foxglove Tree
●学名/Scientific name:Paulownia tomentosa
●分類/classification:植物/Plants>ゴマノハグサ科/Scrophulariaceae

●作品名:サツキ ●学名/Scientific name:Rhododendron indicum
●分類/classification:植物/Plants>ツツジ科/Ericaceae

 これらの「植物図譜」に関して、『鎖国の窓を開く:出島絵師 川原慶賀展(西武美術館)』では、次のように解説している。
≪ 慶賀の植物図は5冊のアルバムに収められ、全部で340種を数えることができる。直接的には『日本植物誌』に用いられていないが、シーボルトを満足させた慶賀の植物観察図の力量をうかがうことができる。≫(『同書(主要作品解説)』)

川原慶賀の動物画.png

上図(魚介)(左から「クジラ」「ニホンアシカ」「サケ」「ギンサメ」)
中図(魚介・鳥類)(左から「モクズガニ」「カメ」「ライチョウ」「ミヤコドリ」)
下図(動物)「左から「ウマ」「ウシ」「イヌ」「ネコ」「サル」)

●作品名:クジラ ●Title:Whale
●分類/classification:ほ乳類/Animals, Mammals>クジラ目/Cetacea

●作品名:ニホンアシカ●Title:Japanese Sea Lion
●学名/Scientific name:Zalophus californianus japonicus
●分類/classification:ほ乳類/Animals, Mammals>アシカ科/Otariidae

●作品名:サケ ●Title:Impossibe to identify species or genus
●分類/classification:魚類/Animals, Fishes>サケ目/Cetacea

●作品名:モクズガニ ●学名/Scientific name:Eriocheir japonicus
●学名(シーボルト命名)/Scientific name(by von Siebold):Grapsus (Eriocheir)
●分類/classification:節足動物/Animals, Arthropods>エビ目/Decapoda

●作品名:カメ(イシガメ)、クサガメ ●学名/Scientific name:Chinemys reevesii
●分類/classification:は虫類/Animals, Reptiles>イシガメ科/Geoemydidae

●作品名:ライチョウ ●Title:Ptarmigan
●学名/Scientific name:Lagopus mutus
●分類/classification:鳥類/Animal,Birds>キジ目/Galliformes

●作品名:阿州産 ミヤコドリ ●Title:Eurasian Oystercatcher
●学名/Scientific name:Haematopus ostralegus
●分類/classification:鳥類/Animal,Birds>チドリ目/Charadriiformes

●作品名:オウマ ●Title:Horse
●分類/classification:ほ乳類/Animals, Mammals>ウマ科/Equidae

●作品名:オウシ ●Title:Bull
●分類/classification:ほ乳類/Animals, Mammals>ウシ科/Bovidae

●作品名:オイヌ ●Title:Male dog
●分類/classification:ほ乳類/Animals, Mammals>イヌ科/Canidae

●作品名:オネコ ●Title:Male cat
●分類/classification:ほ乳類/Animals, Mammals>ネコ科/Felidae

●作品名:サル ●Title:Monkey
●分類/classification:動物、ほ乳類/Animals, Mammals>オナガザル科/Cercopithecidae

≪ 「魚介」
 魚の図は、2冊のアルバムと1枚の紙片に四種類に描かれたものが23枚所蔵されている。このような魚図の大部分は同じライデンの国立自然科学博物館の所蔵に帰しており、これらの図の一部はすでに『シーボルトと日本動物誌』(L.B.Holthuis ・酒井恒共著、1970年、学術出版刊)で紹介されている。これらの図がいかなる事情でしかも慶賀の手で描かれたかについては、シーボルトが日本を去るにあたって、彼の助手ビュルガー(ビュルゲル)に与えた指示(『前掲書301頁)によって分かる。その手紙の文面はシーボルトが慶賀の写実力をいかに高く評価していたかを証しするものであり、本展出品の諸図(上記が一例))もその一端を示すものである。なお、魚名を墨で仮名書きした和紙が各図に貼付されているが、これも慶賀自身の手になるものと推定されている。(兼重護) ≫(『鎖国の窓を開く:出島絵師 川原慶賀展(西武美術館)』所収「主要作品解説」)

≪ 「鳥」
 鳥の図はすべてフイッセル・コレクションに属している。絹(紙? 27.5t×42㎝)に描かれ、慶賀の朱印が押されている。鳥類は、鑑賞的傾向が強く、いわゆる花鳥画的趣を呈している。鳥籠の中の鳥図が5点含まれているが、これらは細かい線と入念な彩色により、写実的に写しており、これらが実物の観察に基づいて描かれたであろうことを示している。≫(『鎖国の窓を開く:出島絵師 川原慶賀展(西武美術館)』所収「主要作品解説」)

≪ 「動物図譜」
 C&I Honicの透かしのあるオランダ製(ホーニック社製)の紙に著色したもの、横約110㎝、縦約64㎝ の大きな紙も二つ折にして両面(すなわち4頁分)に各頁6頭の動物を描いている(総頭48頭)、日本語めの獣名は貼りこんでものと書きこんだものと両用あるが、ローマ字は全て書きこみで、Oeso(ウソ)、Moesina(ムジナ)など表記されている。≫
(『川原慶賀展―幕末の『日本』を伝えるシーボルトの絵師(「主要作品解説」)』) 】

 ここで、「シーボルト・川原慶賀」関連年表も、下記に再掲をして置きたい。

https://yahan.blog.ss-blog.jp/2022-09-11

(再掲)

≪「シーボルト・川原慶賀」関連年表 

https://www.city.nagasaki.lg.jp/kanko/820000/828000/p009222.html
(「川原慶賀」関連=「ウィキペディア」)

※1786年(天明6)川原慶賀生まれる(長崎の今下町=現・長崎市築町)。
1796年(寛政8)2月17日、シーボルト、ドイツのヴュルツブルクに生まれる
※1811年(文化8)川原慶賀当時の長崎で絵師の第一人者として活躍していた石崎融思に師事し、頭角を現す。
1820年(文政3)シーボルト、ヴュルツブ、ルク大学を卒業(24歳)
1822年(文政5)シーボルト、オランダの陸軍外科少佐になる(26歳)

1823年(文政6)シーボルト、長崎に来る(27歳)
※慶賀は日本の動植物等を蒐集し始めたシーボルトの注文に応じ、『日本』という本の挿絵のために精細な動植物の写生図を描く。
1824年(文政7)シーボルト、「鳴滝塾」をひらく(28歳)
1826年(文政9)シーボルト、江戸参府(30歳)
※慶賀はオランダ商館長の江戸参府にシーボルトに同行し道中の風景画、風俗画、人物画等も描く。
1827年(文政10)シーボルト、娘いね生まれる(31歳)
1828年(文政11)「シーボルト事件」おこる(32歳)
※シーボルト事件に際しては多数の絵図を提供した慶賀も長崎奉行所で取り調べられ、叱責される。
1829年(文政12)シーボルト国外追放になる(33歳)
※シーボルトの後任のハインリヒ・ビュルゲルの指示を受け、同様の動植物画、写生図を描く。

1832年(天保3)シーボルト、「日本」刊行はじまる(36歳)
1833年(天保4)シーボルト、「日本動物誌」刊行はじまる(37歳)
1835年(天保6)シーボルト、「日本植物誌」刊行はじまる(39歳)
※1836(天保7)『慶賀写真草』という植物図譜を著す。
※1842(天保13)オランダ商館員の依頼で描いた長崎港図の船に当時長崎警備に当たっていた鍋島氏(佐賀藩)と細川氏(熊本藩)の家紋を描き入れた。これが国家機密漏洩と見做されて再び捕えられ、江戸及び長崎所払いの処分を受ける。
※1846(弘化3)長崎を追放されていた慶賀は、長崎半島南端・野母崎地区の集落の1つである脇岬(現・長崎市脇岬町)に向かい、脇岬観音寺に残る天井絵150枚のうち5枚に慶賀の落款があり、50枚ほどは慶賀の作品ともいわれる。また、この頃から別姓「田口」を使い始める。その後の消息はほとんど不明で、正確な没年や墓も判っていない。ただし嘉永6年(1853年)に来航したプチャーチンの肖像画が残っていること、出島の日常風景を描いた唐蘭館図(出島蘭館絵巻とも)は開国後に描かれていること、慶賀の落款がある万延元年(1860年)作と推定される絵が残っていることなどから少なくとも75歳までは生きたとされている。一説には80歳まで生きていたといわれている(そうなると慶応元年(1865年)没となる)。
1859年(安政6)シーボルト再び長崎に来る(63歳)
1861年(文久元)シーボルト、幕府から江戸に招かれる(65歳)
1862年(文久2)シーボルト、日本をはなれる(66歳)
1866年(慶応2)10月18日、シーボルト、ドイツのミュンヘンで亡くなる(70歳≫

 この「シーボルト・川原慶賀」関連年表から、「1823年(文政6)シーボルト、長崎に来る(27歳) ※慶賀(37歳?)は日本の動植物等を蒐集し始めたシーボルトの注文に応じ、『日本』という本の挿絵のために精細な動植物の写生図を描く」のとおり、この二人の出会いは、「1823年(文政6)」に遡る。そして、そのスタートは、「精細な動植物の写生図」、特に、「植物画の写生図」を、シーボルトが、一介の、長崎の町絵師「川原(別姓・田口)登与助(通称)」に描かせたことに始まる。
 これらのことに関連して、下記のアドレスでは、この二人の関係を、次のように指摘している。

http://www.city.nagasaki.lg.jp/nagazine/hakken0611/index1.html

【 (抜粋)

◆シーボルトが見た日本画家・慶賀
 シーボルトは渡来当初から将来『日本植物誌』の出版する際に、慶賀の植物画を中心に活用しようと膨大な量の絵を描かせていたという。文政9年(1826)の2月から7月にかけての江戸参府においても慶賀はシーボルトの従者のひとりとして参加し、旅先の各地での風景や風物を写生した。慶賀はシーボルトの目に映るものを直ちに紙に写し取り、いわばカメラの役割を果たした。当時の文化、風俗、習慣、自然。特に慶賀の描写した植物画は彩色も巧妙でシーボルトを満足させていたという。実際にシーボルトは慶賀に対する評価を『江戸参府紀行』に次のように記している。
《……彼は長崎出身の非常にすぐれた芸術家で、とくに植物の写生に特異な腕をもち、人物画や風景画にもすでにヨーロッパの手法をとり入れはじめていた。彼が描いたたくさんの絵は、私の著作の中で、彼の功績が真実であることを物語っている……》

◆シーボルトが慶賀に与えた目覚め
 慶賀が残した膨大な量の作品は、その内容、作品に熱意からして、単に雇われ絵師が義務的にこなした仕事とは思えないものだという。そこまで、自然物の写生を徹底した科学的態度によっておこなうことになったのは、やはりシーボルトという偉大な存在と出逢ったためだろう。なかでも、シーボルトに同行した江戸参府の経験は大きい。おそらく、道中においてシーボルトの精力的な研究ぶり、また江戸滞在中にシーボルトを訪れた日本人学者達のシーボルトに対する尊敬ぶりと貪欲なまでの知識欲などを目の当たりにして、慶賀の眼ももっと広い世界へと開かれたものと思われている。シーボルトへの尊敬の念が慶賀に新たな意欲をかきたたせ、自分の使命はシーボルトに与えられた自然物をいかにその通りに描くか、ということにあると自覚し、しかも単に外観をそのまま写すのではなく、そのものの学問上の価値を知って描くことが自分に課せられた任務だと気づいたのだろう。『シーボルトと日本動物誌』においてはじめて公刊された慶賀の甲殻類の図53枚は、大部分が原寸で描かれているという。そして、そのほとんどの図版に種名やその他の書き込みが慶賀によってなされているというのだ。彼が単に図を描くだけでなく、日本名の調査や記入にもあたっていたということは、慶賀自身がシーボルト同様に西洋的科学研究に参加しているという意識を持って仕事をしていたということなのだ。やはりシーボルトとの出逢いと指導が慶賀を大きく成長させたということだろう。

◆慶賀とシーボルトの信頼関係
 (前ページで紹介したように)、慶賀は江戸参府の際に長崎奉行所から命じられていた“シーボルトの監視不十分”の罪で入牢している。慶賀は、シーボルトを密かに監視するようなことをしなかったのだ。シーボルトへの尊敬の念、また、シーボルトから自分に向けられた役割と期待。シーボルトと慶賀の間には、雇い主と雇われ絵師という関係以上の感情がいつしか芽生え、心の交流がなされていたのだろう。シーボルトは帰国後も日本に残った助手ビュルゲルと連絡をとり、標本、図版類を送らせていた。ビュルゲルによって送られた図版は、慶賀によるもの。慶賀は、シーボルト帰国後から長崎払いの処罰を受けるまでの約10年間、出島出入絵師として働いていたと考えられているが、ビュルゲルはシーボルト帰国後3年間、日本にとどまっていることから、慶賀は少なくともその期間はシーボルトの仕事をしていたと思われる。その際、慶賀が描いた甲殻類の図(『シーボルトと日本動物誌』に掲載)から、実物通りの写生能力に関して、シーボルトは慶賀に絶対の信頼を置いていて、また、慶賀もその信頼を裏切るようなことをしなかったということがうかがえるのだ。 】(「長崎Webマガジン」所収「長崎の町絵師・川原慶賀」)

川原慶賀が、「一介の、長崎の町絵師『川原(別姓・田口)登与助(通称)』」から、「江戸時代末期の、長崎派の一角を占める『出島和蘭商館医・シーボルトのお抱え絵師』として、その「眼(まなこ)の絵師」に徹するのは、上記の「シーボルト・川原慶賀」関連年表の、「1826年(文政9)シーボルト、江戸参府(30歳) ※慶賀(40歳疑問)はオランダ商館長の江戸参府にシーボルトに同行し道中の風景画、風俗画、人物画等も描く」の、「シーボルトと川原慶賀」の、その「江戸参府」が、決定的な「節目の年」であったということになろう。
 そして、その「江戸時代末期の、長崎派の一角を占める『出島和蘭商館医・シーボルトのお抱え絵師』として、その「眼(まなこ)の絵師」に徹する」ということは、同時に、「川原慶賀の世界」というのは、「◆個性がない個性こそ慶賀の武器(「世界」)」(「長崎Webマガジン」所収「長崎の町絵師・川原慶賀」)ということになる。

(「人物画」)

作品名:皇后.jpg

●作品名:皇后 ●Title:Empress
●分類/classification:人物/Portraits

http://www.nmhc.jp/keiga01/kawaharasite/list/kglist.php?listNo=151

(「武器・武具図)

武器・武具.jpg

●作品名:武器・武具-13  ●Title:Arms
●分類/classification:道具・武器・武具/Tools

http://www.nmhc.jp/keiga01/kawaharasite/list/kglist.php?listNo=152

(「生業・道具図)

百姓の道具.jpg

●作品名:百姓の道具-1 ●Title:Farmer's tools
●分類/classification:生業と道具/Agriculture and Fishery, their tools

http://www.nmhc.jp/keiga01/kawaharasite/list/kglist.php?listNo=143

(「諸職・道具図)

大工道具.jpg

●作品名:大工道具-1 ●Title:Carpenter's tools
●分類/classification:諸職と道具/Craftsmen and tools

http://www.nmhc.jp/keiga01/kawaharasite/list/kglist.php?listNo=144

(絵師の道具)

絵師の道具.jpg

●作品名:絵師の道具 ●Title:Artist's tools
●分類/classification:諸職と道具/Craftsmen and tools

http://www.nmhc.jp/keiga01/kawaharasite/target/kgdetail.php?id=1224&cfcid=144&search_div=kglist

(寺の道具)

寺の道具.jpg

●作品名:寺の道具 ●Title:Buddhist altar fittings
●分類/classification:道具/Tools 

http://www.nmhc.jp/keiga01/kawaharasite/target/kgdetail.php?id=90&cfcid=152&search_div=kglist




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