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「子規・漱石・寅彦・東洋城」俳句管見(その六) [子規・漱石・寅彦・東洋城]

その六「明治二十七年(一八九三)・「花・花曇り」など」

(子規・二十八歳。根岸に転居。浅井忠の紹介で中村不折を知り、写生俳句を作る。)

此花がいやぢやいやぢやと死なれけん ID10315 制作年27 季節春 分類植物 季語花
咲く咲かぬ花にも嘘の世なりけり   ID10316 制作年27 季節春 分類植物 季語花
其まゝに花を見た目を瞑がれぬ   ID10317 制作年27 季節春 分類植物 季語花
花咲て今人の親の病かな     ID10319 制作年27 季節春 分類植物 季語花
花咲て知らぬ男の出入かな     ID10320 制作年27 季節春 分類植物 季語花
花咲て笋飯のさかりかな       ID10321 制作年27 季節春 分類植物 季語花
花咲て老莱の親の病かな      ID10322 制作年27 季節春 分類植物 季語花
花の寺濁酒売の這入けり      ID10323 制作年27 季節春 分類植物 季語花
花の山浮世画の美人来る哉     ID10324 制作年27 季節春 分類植物 季語花
花を見た其目を直に瞑がれぬ    ID10325 制作年27 季節春 分類植物 季語花
晴れつ降りつ花にもならで狐雨   ID10326 制作年27 季節春 分類植物 季語花
山ぞひや花の根岸の一くるわ    ID10327 制作年27 季節春 分類植物 季語花

(漱石・二十八歳。小石川の尼寺法蔵院に下宿。)

https://yahan.blog.ss-blog.jp/2023-08-21

40 何となう死に来た世の惜まるゝ
41 春雨や柳の中を濡れて行く
42 大弓やひらりひらりと梅の花
43 矢響の只聞ゆなり梅の中
44 弦音にほたりと落る椿かな
45 弦音になれて来て鳴く小鳥かな
46 春雨や寐ながら横に梅を見る
47 烏帽子着て渡る禰宜あり春の川
48 小柄杓や蝶を追ひ追ひ子順礼
49 菜の花の中に小川のうねりかな
50 風に乗って軽くのし行く燕かな
51 尼寺に有髪の僧を尋ね来よ
52 花に酔ふ事を許さぬ物思ひ

夏目漱石短冊一.jpg

「夏目漱石短冊『君を苦しむるは詩魔か病魔かはた情魔か/花に酔ふ事を許さぬ物思ひ』」
(注記・寒川鼠骨函書:「明治廿四年子規居士病む漱石慰問の尺牘に此短冊を添へて贈れり」) (「夏目漱石デジタルコレクション」)
https://www.kanabun.or.jp/souseki/list.html

≪  君を苦しむるは詩魔か病魔かはた情魔か/寄子規
52 花に酔ふ事を許さぬ物思ひ (漱石・28歳「明治27年(1894)」)
≪ 季=花(春)。 ◇全集(大6)に明治二十七年頃として収める。(上記の「夏目漱石デジタルコレクション」では、寒川鼠骨函書により[1891(明治24).3-4]としている。)≫(『漱石全集第十七巻・坪内稔典注解』)  ≫

(寅彦・十七歳。)

亡妻の四十九日や花曇り(明治三十二年作。二十二歳。)

(東洋城・十七歳。)

花の山学校を忘れ遊びけり(明治三十四年作。二十四歳。)

(参考)
https://shikihaku-digital-archive.jp/meijinijukunen_haikuko

明治廿九年俳句稿.jpg

子規筆「明治廿九年俳句稿」明治29(1896)年頃/縦245㎜×横170㎜(綴じた状態)
(「松山市立子規記念博物館/デジタルアーカイブ」)
https://shikihaku-digital-archive.jp/meijinijukunen_haikuko
≪※子規の自作句稿としては最大規模の一冊

本資料「明治廿九年俳句稿」は、子規が明治29年に詠んだ俳句をまとめた自筆の俳句稿です。国立国会図書館に所蔵されている子規自選句集「寒山落木(かんざんらくぼく)五」の草稿にあたるもので、季語を四季別・分類(時候・地理・人事・動物・植物など)別に配列し、句集としての体裁を整えています。収録句数は実に3,000句を超え、子規の自作句稿としては最大規模の一冊です。

明治29年は、子規の俳句革新運動が軌道に乗り、日本派(子規派)の俳句結社が全国に現れはじめた時期にあたります。また子規自身の俳句数の面でも、「寒山落木」清書本に記された俳句数は、明治27年で2,366句(抹消句含む、以下同じ)、同28年で2,843句、そして同29年は3,001句に及んでいます(講談社版『子規全集』第2巻解題)。子規にとって明治29年は、自分自身の俳句の上達にとっても、門人たちの活動の面でも、一つのピークを迎えた年でした。

本資料は、もともと明治32年までの4年分の俳句稿と一綴りにされていましたが、昭和20年の終戦後に一年ごとに分けて綴じ直されました。その後、明治31年と同32年の俳句稿は国立国会図書館に収蔵されましたが、明治29年と同30年の俳句稿は長らく行方不明のままでした。現在は、明治29年・30年ともに当館に収蔵され、子規の俳句革新を物語る貴重な資料として保存・活用されています。≫
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