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「南蛮屏風幻想」(リスボン・ファンタジー)その十三 [南蛮美術]

(その十三)「高山右近旧領土の南蛮美術(キリシタン美術工芸品)」(その四)」周辺

メダイの色々.jpg

 ≪東家のメダイ≫ 東家に所蔵されているメダイは7種7個で、京大報告書の図版では8個が掲載されている。ピエタのメダイが欠落しているとされている。大半が真鍮製 大きいもので約4cm 小さいもので約2cm。(「大阪府茨木市千提寺・下音羽地区のキリシタン遺物」p61)

(メダイ=メダル)

①教皇グレゴリオ14世(径3.9)、②福者フランシスコ・ザビエル(2.6×1.7)、③イエスとマリア(3.3×2.1)、④聖体秘跡(天使聖体礼拝図 2.0×1.5))⑤十字架捧持者(ロヨラとザビエル)(1.8×1.3)、⑥無原罪のマリア(2.1×1.1)、⑦聖母子と十字架上のキリスト(2.9×2.4)

① 教皇グレゴリオ14世

(表)

教皇グレゴリオ14世・表.jpg

(裏)

教皇グレゴリオ14世・裏.gif

真鍮製 4.5(環を除く)×3.8 1591年グレゴリオ14世は、在期間が一年足らず(1590.12.5-1591.10.15)。ローマ教皇庁が関与した本メダイは、世界的にも現存数が少ない貴重なメダイ。紐を通す環(高さ0.6)表は教皇の肖像、その周辺にGREGORIVS・Ⅹ1111・PONT・MAX 下にAN・IPONT・MAXとは、PONTIFEX・MAXIM
VS(最高の司教:教皇)の省略系AN・Iは教皇在位第1年の意味
 裏面に聖霊の鳩を中央に右にキリスト、左にマリア 時計回りにIN・GRAM・PHILIPPINARVM、下方にはROMAE・AN・1591ラテン語銘文が刻印され、GRAMはGRATIAM(恩顧・厚意)の省略系で、スペインの植民地であったフィリピン諸島への恩顧の意味で、このメダイがフィリピン諸島を経て日本にきたことを示している。同型のグレゴリオ14世のメダイが長崎の大浦天主堂にも所蔵されているそうです。(このグレゴリオ14世のメダイについて、チースリク神父は次のようなことを書かれている)
・キリストと聖母の像がある表面のラテン文は「フィリッピン諸島への恩恵」という意味で、フィリッピンと関係がある。
・教皇グレゴリオ14世のメダイ作成に関する当時のヴァチカンの小勅書において、・・片面に主キリストかマリア・・か、片面(裏)には教皇の像を描き、・・かの地方の信者・・に、これについてる贖宥を得るため、・・(教皇の)好意のしるしとして配布すべきと書かれている。
・そして6種類の贖宥の内容が挙げられている・・・キリスト教の伝道にリーダー的な役割を果たし功績があった人等に贖宥が与えられる・・これらは、フィリピン原住民に対するキリスト教伝道に精神的肉体的福祉を促進させる狙いがある・・贖宥の有効地域に日本も含まれていた個数は1万個相当の数・・その枠は拡げられたそう。
・重要なことは、このメダイは、一般には配布されず、伝道・・のリーダー役に当たる人々の布教心を励ます目的であった。それで、千提寺東家の場合、東家が・・組頭、庄屋・・キリシタンの頭ではなかったかと推察できる。
・日本には1595年~1600年頃に届いたのであろう 日本で現存しているのは、この千提寺と長崎の大浦天主堂にある。(「大阪府茨木市千提寺・下音羽地区のキリシタン遺物」p61-p62)

② 福者フランシスコ・ザビエル

聖フランシスコザビエル・メダイ.jpg

真鍮製 2.6×1.7  1619年 ザビエルが福者であった1619年~1621年までの製造と考えられている。ザビエルの列福は1619.10.21表にはザビエルの肖像とB.FRANC.XAVERIVSの銘文 裏には神と二人の人物像が鋳出されている。BはBEATUS(祝福された)の意味聖人だとSが使用される。裏は中央はイエス、左右は聖母マリアとマグダラのマリアではないかとの説もある。(「大阪府茨木市千提寺・下音羽地区のキリシタン遺物」p62)

③ イエスとマリア 真鍮製 3.3×2.1
④ 聖体秘跡    真鍮製 2.0×1.5
⑤ ロヨラとザビエル(十字架捧持者) 真鍮製 1.8×1.3
⑥ 無原罪のマリア(救世主像)真鍮製 2.1×1.1

無原罪のマリア(東家メダル).jpg

「無原罪のマリア(救世主像)」
左=「無原罪のマリア」→ 鋸歯状の光背、星の冠、足下に月
右=「救世主」→ IHS ,受難の象徴の3本の釘
(「無原罪の聖母」のメダイは東京国立博物館にもある)(「大阪府茨木市千提寺・下音羽地区のキリシタン遺物」p63)

⑦ 聖母子と十字架上のキリスト 鉛・錫 2.9×2.4 (国産か?)
⑧ ピエタのメダイ(欠落) 京大 拓本 ()

(追記)

無原罪の聖母(東京国立博物館).jpg

銅牌_無原罪の聖母 (東京国立博物館蔵)
画像番号:C0084127
列品番号:C-708
指定:重文
作者:日本製か
時代:16c後期-17c初期
形状:横7.5_縦10.5_厚1.1_163.56g
数量:1個
フィルムサイズ: 4×5
撮影日: 2005-10-12

https://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0084127

銅牌・聖母.jpg

(指定名称)長崎奉行所キリシタン関係資料 (長崎奉行所キリシタン関係資料 のうち) 1個
青銅製 長9.5×幅6.1 安土桃山~江戸時代・16世紀後期~17世紀初期 東京国立博物館 C-707
https://emuseum.nich.go.jp/detail?langId=ja&webView=&content_base_id=100428&content_part_id=58&content_pict_id=0

【 東京国立博物館が所蔵するキリシタン関係資料は、絵画、彫像、メダイ、十字架、ロザリオ、踏絵などであり、その中心をなすのは、長崎奉行所による信徒からの没収品で、由緒がはっきりしている点が特徴である。
 これらの資料については、明治7年(1874)、維新後に資料を引き継いだ長崎県が、踏絵を購入したいという外国人の要望に対し、その処置に困り、一括して当時の教部省に引き取ってもらったことが知られている。その後、内務省社寺局の所轄になり、同省博物局所属博物館(東京国立博物館の前身)が引き継いだものである。
 絵画のうち、「三聖人像」は、大型の布製の油絵である。キリスト教の宣教師たちはこうした絵画を携えて来日したが、長旅と保存上の理由から、大型のものは少なく、大半は小型の銅板に描かれた油彩画であったと思われる。そのなかで、「親指のマリア」は、宝永5年(1708)に屋久島に潜入して捕らえられたイタリア人宣教師ジョワンニ・シドッチ(1667~1714)が所持していた聖母像と伝え、衣服から親指が少し見えているところからこの名称がある。
 彫像には、鉛製のキリスト像や、鮑貝製の浮き彫りキリスト像などがみられるが、「白磁観音菩薩像」(マリア観音)は、中国・福建省の徳化窯(とっかかま)でつくられた白磁製の観音像で、キリシタン取締りのさなか、信徒は観音像を聖母マリアに見たてて密かに崇敬していた。ほとんどが安政3年(1855)の浦上三番崩れで、長崎奉行所によって没収されたもので、もとの所蔵者の判明するものが少なくない。
 慶応元年(1865)、開国後の長崎に来たパリ外国宣教会のプチジャン神父は、布教のために十字架・メダイ・ロザリオを携行し、浦上の信徒に与えたが、慶応3年の浦上四番崩れで、その多くが没収されている。また、京都府下の福知山で発見されたメダイやロザリオ残欠なども遺品に含まれている。
 踏絵は、信徒判別のために寛永の初め頃ら実施されたといわれており、はじめは聖画を使用したが、損耗が激しく、数も不足したので、信徒から没収した「銅牌」を厚板にはめこんで踏絵に用いたのが「板踏絵」である。長崎奉行所が寛文2年(1669)に鋳物師(いもじ)の荻原(はぎわら)祐佐らに命じて制作したという真鍮製の踏絵は19枚が現存する。 】
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