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鶴下絵三十六歌仙和歌巻(光悦書・宗達画)」周辺(その三十三) [光悦・宗達・素庵]

(その三十三)「鶴下絵和歌巻」O図(2-11源順)

鶴下絵和歌巻・O図.jpg

(壬生忠岑・N図の続き)春立つと言うばかりにやみよ吉野の山も霞みて今朝は見ゆらむ(「撰」「俊」)
大中臣頼基 一節に千世を込めたる杖ならば突くともつきじ君がよはひは(「撰」「俊」)
2-11源順
  水の面に照る月次(なみ)を数ふれば 今宵ぞ秋の最中(もなか)なりける(「撰」「俊」)
(釈文)水濃面尓照月な見を可曽ふ連バ今夜曽秋能も那可成介る
https://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/meihin/kinsei/item02.html

https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/sitagou.html

   屏風に、八月十五夜、池ある家に人あそびしたる所
水のおもに照る月なみをかぞふれば今宵ぞ秋のも中なりける(拾遺171)

【通釈】水面に輝く月光の波――月次(つきなみ)をかぞえれば、今宵こそが仲秋の真ん中の夜であったよ。
【語釈】◇月なみ 「波に映る月光」「月次(月の数。月齢)」の両義。◇秋のも中 八月十五日は陰暦では秋の真ん中にあたる。「も中」のモはマの母音交替形。

源順その一.jpg

源順/青蓮院宮尊純親王:狩野安信/慶安元年(1648)  金刀比羅宮宝物館蔵
http://www.konpira.or.jp/museum/houmotsu/treasure_house_2015.html

水のおもに照る月なみをかぞふれば今宵ぞ秋のも中なりける(拾遺171)

源順その二.jpg

『三十六歌仙』(源順)本阿弥光悦書(国立国会図書館デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1288424

水のおもに照る月なみをかぞふれば今宵ぞ秋のも中なりける(拾遺171)

(追記)「鹿下絵和歌巻断簡」の「シアトル美術館蔵」周辺(その五・その六・その七)

鹿下絵シアトル五.jpg
「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」(シアトル美術館蔵その五)
鹿下絵シアトル六.jpg
「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」(シアトル美術館蔵その六)
鹿下絵シアトル七.jpg
「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」(シアトル美術館蔵その七)

http://art.seattleartmuseum.org/objects/14261/poem-scroll-with-deer?ctx=947bccb0-1f22-40c6-acef-ab7c81a74c67&idx=1

 上記の絵図の詞書(「その六」の一行目)と和歌(「その六」の「二行目」から「その七」の「前半三行」)は次のとおりである。

381  円融院御哥 [詞書]題しらす
月かけのはつ秋風とふけゆけは心つくしにものをこそおもへ

(釈文)題しらず 円融院御哥
 月影盤初秋風登更行登心徒久し尓物をこ曽おもへ

https://ameblo.jp/takatanbosatsu/entry-12078857382.html

――静かに夜も更けた。
     初秋の風がそよと吹いて、月もいっそう冴えわたると、
     心も尽き果てるほどのもの思いに耽ることよ…

     「ふけ」…(夜が)更けると、(風が)吹けの掛詞(かけことば)。

作者、円融院(えんゆういん・円融天皇)(959~991)は平安後期、第64代天皇。 村上天皇の第五皇子。 花山天皇に譲位後は朱雀院上皇と称したが985年出家し、円融寺に住し、円融院と称されるようになった。 法名は金剛法。 家集に 『円融院御集』 があり、『新古今集』 には七首入集している。 33歳で早逝した。
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