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蕭白の「群仙図屏風」(その三) [蕭白]

(その三)「群仙図屏風」(蕭白筆)の「左隻」の「林和靖」と「唐子」

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「群仙図屏風」(蕭白筆)の「左隻」(部分図・林和靖と唐子)

 中央の唐子を抱いている立身像の男性が、「林和靖(リンナセイ・リンワセイ)」である。名が逋(ホ)、字が君復(クンプク)、号が和靖先生(ワセイセンセイ)、中国・宋代の詩人である。生涯独身で、「梅妻鶴子」(梅は妻で、鶴は子である)と、「梅」と「鶴」とをこよなく愛した。鶴は和靖先生のメッセンジャーでもあった。
 寺の子供たちに、「もし遠くから来るお客さんが急用の場合、鶴を空に飛ばして下さい。飛んだ鶴を見るとすぐに船で帰りますから」と、「朋(トモ)遠方より来たる、また楽しからずや」、その後に続く、「人知らずして慍(ウラ)みず、また君子ならずや」の、中国の知識人・士大夫(シタイフ)の典型的な仙人なのである。
 この和靖先生を「ニヤケ顔」とか、この「唐子」達を「ヘンナ顔のオンパレード」とかと鑑賞しているものも散見するが、これは、紛れもなく、「和靖先生」の「先生」の「在るべき姿」と、その「先生」に純真無垢なるままの信頼を置いている、「唐子・寺子たち(生徒たち)」との、これほど、象徴的な画像は、なかなか、お目に掛かれない。
 この「群仙図屏風」(蕭白筆)の「左隻」(部分図)の、ここに焦点を当てただけでも、蕭白という画人は、例えば、同時代の京都の画人達の、「若冲・蕪村・大雅・応挙・芦雪・呉春」等々に比して、それらを時に「アザケリ・ヤユ」し、そして、縦横無尽に「ホントウノモノヲカキタイ」ということに徹した一人ということを実感する。

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